「はみ出し者が、道をひらく」
外科医でありながら、
当時まだ注目されていなかった
大腸内視鏡に取り組んだ、工藤医師。
周りからは奇異な目で見られることも少なくなかったという。
しかし、この一言が工藤医師を支えた。
「好きなことをやっている君は、幸せだ」
はみ出し者でいいじゃないか。
はみ出し者だからこそ、成し遂げられることがあるのではないか。
自分の信じた道を、ひたむきに進んでいけば。
ただ、疑問に感じた点も1つ。
優秀な医師をカリスマ的にしてしまうのはいかがなものか。
他の病院で、直腸肛門切除手術をして、
人工肛門にするしかないと診断された大腸がんの女性。
なんとか人工肛門にする以外の治療法はないかと
工藤医師の元へやってきた。
「最善を尽くしてみましょう」と言われて、
「初めてそんなふうに言ってもらえた」と涙を流した。
うーん、それまで診た医師も、最善を尽くして考えたはずだけどな。
結局工藤医師は肛門を温存して直腸を切除すると決めたけど、
それが正しい判断かどうかは実際のところわからない。
もし、断端に腫瘍細胞があれば、
やっぱり肛門を切除しなければならないことだって有り得るし、
その可能性もかなり高いのでは?
標準的で、安全な、多くの人の命を救える治療が一番優れている。
もちろん、患者の希望も大切だけれど、
なぜ、その治療を勧めるのか、その意味もよく理解してほしいと思う。